愛人契約を始めたきっかけ
大学を出て社会人になった22歳の頃、私は本業の傍ら風俗店でも働き始めた。
社会人になってからのお給料は決して低くなかったが、当時付き合っていた彼氏が遠方に住んでおり会いに行く費用を稼ぐために始めた風俗。毎日毎日同じことを繰り返す仕事に飽きてきた私にとってはたとえ週に2回・短時間の出勤でもとても刺激的だった。
私の働いていた店はいわゆるソープやヘルスといったものよりも少しライトなもの。
ただ性欲を満たすだけのお客様もいたが、それよりも肌の触れ合いや和やかな会話を求めて来られるお客様の方がとても多かった。
パパとの出会い
風俗で働き始めて半年ほど経ったある日、ぱっと見で60代の男性が私を指名してくれた。指名の理由について「俺は常連だが見たことない嬢(私)がいたし若いから指名した」と、後から教えてくれた。
私にとって高齢のお客様は初めてであったが、彼はとても紳士的で私自身プレイ中とても楽しめた。もちろん本番行為はなし。
そんな出会いから数ヶ月、彼は毎回私を指名してくれるようになった。
ある日、彼は私に
「俺の愛人にならないか?お金は弾むぞ!」
と冗談まじりに提案してきた。
私は笑って誤魔化したが、彼は本気だったようで何度も提案してきた。
この時に知ったのだが、彼は会社を経営する社長さんで、お金は有り余っているらしい。奥様やお子様だけでなくお孫さんもいらっしゃるが、彼が外で遊ぶことに関しては厳しく追及してくるようなことはないのだそう。
彼は「残り少ない人生、身体も自由がきかなくなってきたし少しの時間でいいから君と過ごしたい」とまで言ってくれた。
私は迷ったが、その提案を受け入れた。
そして風俗店は辞め、本格的に彼との愛人契約を結んだ。
愛人契約の詳細は
契約内容は30万/月。最低でも週に1回はご飯を食べた後にホテルで過ごすというもの。しかし愛人になってからも本番行為はなし。
だいたい1回のデートで4〜5時間を共に過ごした。
誕生日やクリスマスなどのイベントごとでは毎回必ず欲しいものを聞いてくれ、カバンやアクセサリーなど答えたものを与えてくれた。
本番行為がないとはいえ、父親より年上の60代の男性と身体関係をもつことに抵抗がなかったといえば嘘になる。
しかし、それ以上に彼と過ごす時間は楽しかった。
彼は一代で会社を立ち上げた商売人。
それも中学も出ないで、若いころから色々な商売に手を出しては失敗して、の繰り返し。
信頼していた友人に裏切られてお金を持ち逃げされたこと。
商売上のトラブルから中国人マフィアに殺されそうになって、ヤクザの友人に助けてもらった話。
バブル時代につきあいのあった銀行マンに勧められて株を買いまくって大損を抱えたこと。
とある国で長いこと商売をやっていて、大統領も参加する晩餐会に出席したこともあること。
私みたいな凡人とは住む世界が違いすぎて、でもそれだけ彼の話は新鮮で、飽きることがない。
いくつも会社を経営していて、何百人も部下がいるはずなのに偉ぶることもなく、いつも紳士的。
彼と愛人契約を結んでいた期間は1年。
彼からもらったお金は彼氏とのデートのための交通費以外は遣わずに貯めていたため、総額300万円近くの貯金ができた。
300万円という大金を身体で稼いでしまったことに、突然私は私が嫌になった。
彼のことが嫌いになったわけではない。
風俗嬢やパパ活女子、愛人契約している女性のことを非難しているわけでもない。
ただなんとなく、冷静に自分はなんてことをしているんだという気持ちが芽生えてしまった。
同時に、本職のほうで異動があり、これまでよりも残業や休日出勤が増え、彼と会う時間を確保するのが難しくなった。
1年という区切りも良かったため、私は彼に契約の打ち切りを提案した。
すると彼は意外にもあっさりと受け入れてくれ、最後には「ありがとう」とまで言ってくれた。
たった1年間の愛人契約で、私の生活が変わったことは正直特になかった。
強いて言うなら貯金と少しだけカバンが増えたことぐらい。
だからといって生活水準が高くなるわけでも低くなるわけでもなかった。
もちろん彼氏も知らないし、もちろん家族も友人も知らない。
今はパパとは連絡もとっていないし、本職一本でこれまで通りの生活を送っている。
墓場までもっていく私の秘密。
実は愛人やってました、パパ活やってました。
そういう女性って実は、結構多いんじゃないかと思っている。
コメント